さらに、加熱式たばこ市場全体に吹き荒れる“逆風”にもなりかねないのが、規制の行方だ。山田氏が続ける。
「国の改正健康増進法と東京都をはじめ各地の自治体で進む条例による規制で、加熱式たばこがどう扱われていくかによって、市場の伸びに影響が出るかもしれません。
今のところ紙巻きたばこよりは規制が緩和されていますが、禁煙政策を進める厚労省や、独自色を出したい地方自治体などの力で紙巻きたばこ同様に規制が強化されていくと、大きな障害になることは間違いありません」
国内の紙巻きたばこ市場は、度重なる増税や人口減、喫煙率の低下などによって1996年をピークに右肩下がりとなっている。そんな中で、加熱式たばこは、「各メーカーが生き残りをかけた“勝負アイテム”」(山田氏)となっている。
JTが高温加熱型に本格参入したことで、大手3社が同じ土俵で対決することになった加熱式たばこ──。熾烈な販売競争の結果のみならず、JTは唯一の国内メーカーとして、加熱式たばこの喫煙場所整備や健康リスク低減の調査・公表など、新しいたばこ文化をどこまで根付かせることができるかの重責も担っている。
●撮影/小倉雄一郎