これに則り、2014年に新制度をスタートした。高校の評定が5点中、平均4.3以上で、働きながら大学に通うという高いハードルにもかかわらず、募集9名に対して毎年30名程度の応募がある。
合格者の大多数は、家庭の事情で通常ならば大学に通えない学生で、東日本大震災の津波で家が流された被災者もいた。
学生たちは朝から夕方まで大学事務局で仕事をして、それから夜遅くまで大学で勉強し、また翌日の朝は働きに出るという繰り返しだ。その姿を間近で見てきた加藤さんは、「みんな、本当に懸命に頑張っている」と語る。
「大変な状況にあるはずなのに、感謝の気持ちを持っている学生が多い。経済面やその他のサポートのおかげで学生生活を送れることを心からありがたいと感じ、真剣に勉強する学生がほとんどです」
昨年春、同制度で入学した初めての学生6名が卒業式を迎えた。3名は学科の首席だったという。彼らの晴れ姿を見て加藤さんは涙がこみ上げてきたという。
「私が中心となって作った制度ですし、4年間、部下としても働いてもらったわけですから、卒業証書を受け取る姿を見て、感動しました。世間では大学生は昼間遊んでいるイメージがあるかもしれませんが、そんなことはない。彼らは遊ぶ暇もないなか、いろいろなことを身につけようと必死でしたから」
※女性セブン2019年2月7日号