日本人の4分の1が心筋梗塞や脳梗塞などの血管系の疾患で亡くなっている。さらに、血管の老化が進めば、それだけがんや認知症のリスクも高まるといわれている。言うなれば、人間の死を招く導く原因のほとんどが“血管年齢”に関わっているという調査結果もある。
しかし、血管年齢は努力次第で若返ることも立証されているのだ。ここからは、彼らの知恵と専門家の最新研究に基づいた、血管年齢を若くする5か条を紹介していく。
◆早寝早起き
そもそも、血管の老化とは血管の壁が硬くなることを指す。だから「血管を緩めてあげればいい」と話すのは、米ハーバード大学医学部客員教授で医師の根来秀行さん。
「血管を緩めるのに必要なのは、良質な睡眠です。眠っている間に分泌される成長ホルモンによって全身の細胞が修復され、血管もしなやかさを取り戻すことができるのです。
そのためには、体内時計も整えるべき。たとえば〈夜11時就寝、朝6時起床〉のような7時間程度の睡眠を、規則正しい時間にとることが効果的です。特に寝入りばなの、最も睡眠が深くなる1.5~3時間は成長ホルモンが特に多く分泌されます」
今も現役で三重県鳥羽市の相差地区で海女頭を務める中村美智子さん(66才)も早寝早起きを実践している。趣味の時間などは朝に移し、夜更かしは控えるのが若返りへの第一歩。
◆腹式呼吸
睡眠とともに今日から生活に取り入れたいのが呼吸法だ。根来さんが続ける。
「人間の血管は自律神経によって収縮したり緩んだりします。リラックスしたときに優位になる副交感神経が高まると血管が緩み、血流がよくなる。その状態を保つのに有効なのが腹式呼吸です。1から4までゆっくり数えながら鼻から息を吸い、また8つ数えながら息を吐く。コツは横隔膜を意識しつつ、お腹をしっかり膨らませることです」
◆毎日湯船に浸かる
シャワーで済ませず、きちんとお風呂につかることも血管を緩め、みずみずしく保つ秘訣だ。
「就寝2時間前に10分間つかるのが効果的。睡眠の質に影響を与えるので、寝る1時間前には入浴を済ませましょう」(根来さん)
◆魚を食べる
もちろん、食生活も血管年齢と密接に関係する。
血管年齢を研究している産業技術総合研究所(茨城・つくば)の人間情報研究部門主任研究員・菅原順さんが解説する。菅原さんは、調査を受けた海女の血管年齢が若いことに注目する。