「ある大手建築関連の企業が、取締役の子供をコネで入社させたことがあります。周りの社員にしてみれば、自分の会社のお偉いさんの子供ですから気を遣います。本人も結果を出そうと努力しましたが、もともと器でなく、空回り。先輩社員は、もめたくないので本人に厳しい指導はできませんでした。一線での活躍は難しいと、本人も周りも薄々気づいていたのですが……。本人もコネ入社だから、弱音を吐くとこもできないんです」
キャリアアカデミーの受講生で、コネで内定をとったものの、その企業を辞退したAさんにも話を聞きました。
「親の力で入社すれば、自分に自信が持てなかったり、親に頭が上がらなくなったりすると思いました。苦労しましたが、自分で企業を探し、希望の会社の内定を取りました」
そう語るAさんは、今も自分で内定を取った会社に勤務し、活躍しています。
◆コネ入社に負けないために
別の講師は、コネ入社について次のように語りました。
「コネ入社できるような就活生は、何が違うって、育ちが違うんです。幼い頃から大人の世界で過ごし、礼儀がしっかりしています。挨拶、返事、言葉遣い、服装まで、しつけられています。きちんとしているから、仕事以前に人として付き合いやすい。だから、コネを使わなくても結局は採用されることになります。だから、就活塾の受講生に対しては、TOEICの点数や資格より、礼儀や言葉づかいの方がずっと高く評価されることを指導しています。実際、そこが改善されれば面接での評価がぐっと高くなります」
コネ入社は確かに存在しますが、コネがなくても内定は取れます。ちなみに、筆者は、中学・高校とお辞儀の授業があり、これが社会に出てから非常に役に立っていると感じています。就活中はコネ入社のライバルについては深く考えすぎず、社会人としての基本的な礼儀を身につけ、希望の内定を勝ち取っていただければと思います。
【プロフィール】うさがわ・けいこ/1994年東京生まれ。早稲田大学卒業後、大手損害保険会社に入社。2018年8月より、就活塾「キャリアアカデミー」に参画し、同社が運営する就活ブログの執筆を務める。https://www.c-academy.co.jp/