胃がんや食道がんといった消化器系のがんは潰瘍を併発することが多いため、舌苔の色に変化が起きやすくなる。折しも2月12日には歌手の野口五郎(62)が、初期の食道がんを手術で切除し、「元気になりました」と公表した。早期発見が重要であることを改めて認識させた。
脳卒中や心筋梗塞といった大病リスクの予兆も舌に現われるという。中城院長が言う。
「舌の動きがうまくコントロールできない場合は、脳の血流が悪化した影響で舌の神経の働きが悪くなったと考えられるので、脳卒中リスクが上がっている可能性がある。
また、健康であれば目立ちませんが、舌の裏には静脈があります。舌下静脈が立体的に浮き上がって青黒くなっていたら血流が悪くなっている証拠。脳に近い血管である舌下静脈の血流が悪いという場合も、脳卒中の危険が高まっていると言えます。
身体で唯一静脈が直視できる場所であり、かつ脳に近い血管である舌の静脈は、脳卒中リスクをチェックできる最適の場所なのです」
健康長寿のため口腔ケアの重要性が叫ばれるようになった今、歯に気を配る人は多くなったが、舌のことは見過ごされがちだ。しかし、舌こそが身体の異変をいち早く教えてくれる。普段からその状態を確認し、シグナルを見逃さないようにしたい。
※週刊ポスト2019年3月8日号