ところがここが盲点だ。選挙に行かない、投票に行かないことで、「何も選択しなかった」、「意思を示さなかった」と思っているのは自分だけ。実は“選挙に行かない”“選択しない”ということ自体が、自らの意思表示になってしまうという「デフォルト効果」が生じているのだ。

 デフォルトとは、そのまま何もしなけばそれを選択をすることになる選択肢のことだ。スマホやパソコンなどの“初期設定”に例えられることが多く、利用者が自ら変更しなければ初期設定のまま使うことになる。初期設定のまま、提示されたまま変更しないという人は案外多く、これがデフォルト効果である。この効果が生じる理由は、「諦め」や「選ぶのが難しい」などの他に、「現状のままでいい」、「変更するのが面倒」といった心理的要因も関係しているといわれる。

 今回の県民投票なら、デフォルトは「新基地建設賛成」や「辺野古の埋め立て容認」にあたる。投票に行かなければ反対を表明できず、行かなければ自然と賛成や容認というデフォルトを選択したことになり、デフォルト効果が生じてしまう。そのため、辺野古の埋め立てをさっさと進めてしまいたい政権にとっては、投票率が悪ければ悪いほど好都合だったのだ。

 さて、ここでハタと思った。デフォルトが反対だったらどんな結果になっただろう。「新基地建設中止」、「辺野古の埋め立て撤回」がデフォルトだったら? 新基地建設に賛成の人は、投票に行って建設中止に反対票を投じなければならなかったならば? この時生じるデフォルト効果は、きっと今回とはまた別の意味を持っていただろう。

 法的拘束力はないとはいえ、県民の民意は反対と示された。安倍首相は暗く厳しい表情で「結果を真摯に受け止める」と話したが、「もうこれ以上、先送りすることはできない」とも述べ、工事は継続されている。「辺野古新基地建設の阻止に向けて全身全霊捧げていく」と口元をきつく結んで語った玉城知事は、安倍首相に今回の結果を直接伝え、見直しを求める考えだという。今は会談の行方を見守るしかない。

関連記事

トピックス

女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
〈一緒に働いている男性スタッフは彼氏?〉下北沢の古着店社長・あいりさん(20)が明かした『ザ・ノンフィクション』の“困った反響”《SNSのルックス売りは「なんか嫌」》
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
《“手術中に亡くなるかも”から10年》79歳になった大木凡人さん 映画にも悪役で出演「求められるのは嬉しいこと」芸歴50年超の現役司会者の現在
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン