ただ、ステージIで胃がん手術を受けた患者の5年生存率は96.7%(全国がんセンター協議会、2018年)。早期発見なら手術が最有力になりそうに感じられるが、必ずしもそうではない。この生存率はあくまで全年代での数字だ。
比企医師がステージIの胃がんを手術で摘出した85歳以上の患者77人について調査したところ、5年生存率は約60%だった。
「見つかった年齢によっては手術は受けない」とする比企医師が早期胃がんへの“別の選択肢”とするのが「LECS(腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除)」だ。
「口から入れた内視鏡と、お腹に開けた孔から差し込んだ腹腔鏡を用いて、胃の内と外から局所的に腫瘍を取り除く治療法です。全摘手術と比べて切除範囲や体への負担が少なく食事制限も必要ないため、術後の退院が早く生活の質も維持できます」(比企医師)
※週刊ポスト2019年3月15日号