2012年に米ワシントン大が発表した研究では、別の病気で亡くなった60~79歳の1000人のうち、7割から前立腺がんが見つかった。つまり前立腺がんを患っても、死に至らないケースが多い。
「手術に踏み切ると、排尿障害やED(勃起不全)などの副作用が生じて手術のメリットを上回るリスクがあります。もし私が前立腺がんに罹ったとしても、放射線治療なら受けるかもしれませんが、手術は受けないでしょう」(小堀医師)
2012年、日本泌尿器科学会は「前立腺癌診療ガイドライン」に「監視療法」を選択肢として盛り込んだ。
「『監視療法』では、2~3か月ごとに検査で数値をチェックする。進行が明らかになってから治療を始めればよく、それまでは何もしないという考え方です」(小堀医師)
※週刊ポスト2019年3月15日号