上海の建設機械関連の日系企業駐在員氏も「昨年夏以降、急に景気が悪くなったように感じる。トランプ政権による米中貿易戦争が影響しているのは間違いない」との感想を述べていた。いずれにしても、米中貿易戦争はボディブローのように、中国経済に確実にダメージを与えているようだ。
中国では外国旅行ができるような富裕層は約1億人で、ほとんどが都市部在住のホワイトカラー層だが、米中貿易戦争に伴う景気の冷え込みの影響で、所得が伸び悩んでいることも前述のような状況となった原因の一つとして考えられる。
実際、中古車に乗っている前出の北京の知人や家族は高級ブランドの旅行カバンを持っていたが、なんとこれは「レンタル」だという。知人は「このバッグは買えば1万元(約16万円)しますが、レンタルだと一日でたったの50元(約800円)。バッグに限らず、北京ではカメラや時計、電子製品に至るまで安い料金でレンタルできるから便利」と得意げだった。
札束を手に買い物をしていた中国の富裕層も変われば変わるものだが、中国の景気低迷が徐々に深刻になっていることを感じさせる現象といえそうだ。