◆タイプ2「背負い込み型」

 もう1つは、「背負い込み型」だ。わが国ではまだ学歴が高いこと、よい学校を出ているということで、周りからは「優秀な人材」と見られる。当然期待され、仕事のハードルも高くなる。そして本人は、「優秀な人材」という評判を裏切らないため、どんなことがあっても期待に応えようとする。

 しかし実際は、学歴が高いからといって必ずしも優秀なわけではなく、まして仕事ができるとも限らない。そこで本人は、期待と実力のギャップに苦しむのである。

 彼らは受験勉強でつねに「自分に克つ」ことをポリシーにして受験戦争をくぐり抜けてきた。彼らの辞書に「できない」という文字はない。そもそも与えられた仕事を断ったり、手を抜いたりすることは自分自身が許せない。つまり重荷を下ろす術を知らないのである。

 そのため自分のキャパシティを超え、つぶれるまで仕事を背負い込んでしまう。ストレスから心身の不調をきたしたり、大きなミスを犯したりするケースが出てくる。そして最悪の場合、過労死や過労自殺といった結末が待っている。

◆呪縛を解くためには

 2つのタイプに共通するのは、背後で人一倍強い「承認欲求」が働いていること、すなわち周囲から高く評価されなければならない、評判を裏切ってはいけないという承認への過度なこだわりが自分自身を苦しめているのである。しかも、それを自覚していないことが問題をいっそう拡大させている。

 もちろん、その責任を本人だけに帰するのは酷である。むしろ彼らを過剰に評価し、実力以上に期待水準を高めてしまい、同時に自分の能力を過信させてしまった学歴社会こそが問題の根源だといえよう。

 ともあれ状況を正すには、背後にある承認欲求の呪縛を解かなければならない。目標は本人も周囲も、本人の実力を正しく認識することである。互いに先入観を捨て、正味の実力を理解すれば、背伸びしすぎや勘違いによる不幸はなくせるはずだ。では、どうすればそれができるのか?

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