公式ホームページではない、誰もが書き込める口コミサイトも、情報を鵜呑みにするのは考えものだが、使い方によっては役に立つ。
「医療機関の口コミで注意すべきは2点あります。1つは、病状はそれぞれであり、手術をあちこちで受けてその腕を比べることができないように、純粋な比較が難しいということ。また、評価する患者自身が素人なので、本当に効果的な医療であったかどうかは判断できないということです。ただ、医師やスタッフの性格や態度、病院の雰囲気については、ある程度参考にしてもいいでしょう」
医療の内容よりは優先度が落ちるかもしれないが、待ち時間が少ない病院を選ぶこともできる。
『医者の本音』(SB新書)の著書がある消化器外科医の中山祐次郎さんは、待ち時間の少ない病院の共通点をこう解説する。
「カルテが手書きではなく電子カルテの病院や、ネットで予約ができる病院、また受付のときに患者一人ひとりに呼び出し機を渡して、自分の番が来るまでは病院の外にいていいというシステムを導入している病院は、待ち時間が比較的短いといえるでしょう」
一方で、避けるべき医師や病院のポイントもある。都内の総合病院に勤務する外科医が明かす。
「レントゲン写真の画像から病気を見つけ出す『読影』という特殊技術の訓練を受けた放射線医を置いていない病院は避けた方がいい。せっかく最新の検診機器を備えていても、見落としがあれば意味がない。実際、私のところに来た患者さんでも、放射線医のいない病院のX線検査でがんを見落とされたという人がいました。また、ホームページで待合室の豪華さをアピールする病院も危ない。検査機器ならまだしも、待合室は治療とは直接関係ありません」
中山さんは「同業者から見ても、こんな医師は避けたい」と明かす。
「まず、外見でわかる点としては“汚れたヨレヨレの白衣の医師“。かつて先輩医師から『患者さんは一世一代の大勝負の手術を受けるために来院している。汚れた白衣を着た医師に命を預けたいと思うだろうか』と教えられたものです。忙しいのはわかりますが、白衣をなおざりにしている医師はプロ失格です」
“患者の話を聞かず、話をさえぎる医師”や“若手医師や看護師などに高圧的な医師”も、コミュニケーション能力に問題がある可能性が高いため避けたいと中山さんは続ける。
「そして最後に、意外かもしれませんが“わからない”と言えない医師も信用しません。医学は幅広く、専門分野に関してはそれぞれ勉強を続けますが、それ以外のすべてに精通し続けることはできません。知ったかぶりをする医師は信用に値しません」
村上さんも声をそろえる。
「実力のある専門医ほど、わからないことはわからないとはっきり言ってくれる。勉強しているからこそ『私がわからないことは、現代医学でまだ明らかになっていないことです』と断言できる。それが自信の表れなのです」
※女性セブン2019年4月18日号