硬さが好評な新幹線車内販売アイスクリーム。左から時計回りにいちご、チョコ、バニラ
製造元のスジャータめいらくは、コーヒーフレッシュをはじめ果汁飲料・野菜飲料の販売などで知られる。同社広報部の担当者は言う。
「スジャータスーパープレミアムアイスクリームは、通常のアイスクリームよりも空気の含有量を少なくし、アイスクリームの密度を高くしています。そのため、通常のアイスよりも溶けにくくなっています。そうした製法により、“シンカンセンスゴイカタイアイス”と言われるようになったんだと思います」
また、徹底した温度管理も“シンカンセンスゴイカタイアイス”の秘密のひとつでもある。製造元であるスジャータめいらくが、温度管理に細心の注意を払っているだけではない。
販売元であるJR側でも温度管理を徹底しているほか、“シンカンセンスゴイカタイアイス”のための工夫を凝らしている。東海道新幹線で車内販売を担当するJR東海パッセンジャーズ総務部の広報担当者は、こう話す。
「新幹線車内には、アイスクリームを保管する冷凍庫がありません。そのため、スジャータスーパープレミアムアイスクリームはドライアイスを詰めた保冷バッグに入れています。そのドライアイスによって、アイスが硬くなっています。これが奏功して、利用者から好評を得たようです」
スジャータスーパープレミアムアイスクリームは、東京駅の新幹線ホームや埼玉県さいたま市の鉄道博物館などでも販売されている。しかし、これらで販売されているアイスと新幹線車内で販売されているアイスと比べると、まるで別物。ホーム売店や鉄道博物館で販売しているアイスは、硬さが物足りない。スプーンが立つほど硬くなければ、“シンカンセンスゴイカタイアイス”の真髄を味わうことはできないのだ。
そうした事情もあって、『新幹線車内で食べたい!』というリクエストが根強くある。
その硬さから注目を浴びる“シンカンセンスゴイカタイアイス”だが、決してウケを狙ったネタ商品ではない。の発端は「新幹線車内で食べるために高級感のあるアイス」というコンセプトから開発をスタートさせている。そして、通常のアイスよりも空気の含有量を減らしたことで、濃厚な味わいになっている。
「スジャータスーパープレミアムアイスクリームは、JRの車内販売を想定して生産・販売しています。そのため、HPの製品紹介には掲載していません。また、通販にも対応はしていません」(めいらくスジャータ広報部)
東京駅-新大阪駅間を結ぶ東海道新幹線では、“のぞみ”・“ひかり”・“こだま”の3タイプが走っている。そのうち、各駅停車タイプの“こだま”は「利用実態に合わせて、2012年3月をもって車内販売を終了した」(JR東海東京広報室)が、“のぞみ”と“ひかり”には車内販売が残っている。
JR東日本が一部の新幹線で車内販売の取り止めると規模縮小を発表したが、JR東海は東海道新幹線の車内販売に対する方針を変更する予定はないという。つまり、東海道新幹線の“のぞみ”と“ひかり”車内では、引き続き“シンカンセンスゴイカタイアイス”を食べることができる。
ゴールデンウィークに新幹線で出かける際、車内で“シンカンセンスゴイカタイアイス”の味だけではなく、硬さも存分に堪能してほしい。