大定番の袋パンの質を徹底的に追求し、根強いファンを離さないのがセブン-イレブン(以下セブン)だ。

 セブンのパン売り場に並ぶのは、平均して菓子パン25種、惣菜パン15種。他のチェーンよりやや少ないと思うかもしれないが、圧倒的に売れている商品があるのが強みだ。売れ筋トップ3を尋ねると「メロンパン・コロッケパン・あらびきジューシードック」だという。

ポーク100%の肉感あふれるソーセージが食べ応えあり(セブン)

ポーク100%の肉感あふれるソーセージが食べ応えあり(セブン)

 セブンの袋パンの特徴を一言でいえば「手づくり感」があることだ。専用工場で調理する手間ひまは、これまた“町のパン屋さん”と比べてそん色ない。

 人気の「芳醇なソースで味わうコロッケパン」(128円)に注目すると、2~3年前にパンを「縦カット」から「横カット」に変えたことで、より大きなコロッケを挟むことができ、食べ応えがぐんとアップした。

 メリットはまだある。商品本部デイリー部の三好崇司さんによると、「(横にカットすることで)パン生地の空気に直接ふれる部分が減り、生地のしっとり感をキープできるようになった」という。

 なんともマニアックな視点だが、確かに縦にカットしたコッペパンより、横カットにしたほうがふわふわだ。細かいことだが、地味な袋パンにも入念なおいしさアップの工夫が詰まっている。

国産じゃがいもを使ったコロッケはボリューム満点だ(セブン)

国産じゃがいもを使ったコロッケはボリューム満点だ(セブン)

 こだわりはパンだけでない。コロッケは工場で揚げ、ソースも野菜や果物を加えてコクを深めたオリジナルを使用しているのも、専用工場を持つセブンならでは。「コロッケパンやあらびきジューシードックは購買客の7割が男性。特にコロッケパンは中高年の方に人気です」(三好さん)

 女性客支持率の高いローソンのパン、男性客の胃袋をわしづかみにするセブンの硬派パンと、近年、ここまで各社の袋パンに個性が出たのは珍しい。

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