ビジネス

専業主婦は「ブランク」に非ず 「家オペ力」を侮るな

予算内で家計をやりくりする力も主婦の立派な能力

予算内で家計をやりくりする力も主婦の立派な能力

 女性活躍の推進が図られている今、長らく専業主婦の人は肩身の狭い思いをしたり、社会復帰を敬遠されたりする風潮まであるという。だが、「専業主婦期間は決してブランクではない」と指摘するのは、働く主婦の調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長兼「ヒトラボ」編集長の川上敬太郎氏だ。

 * * *
 日本プロ野球と米国メジャーリーグで数々の金字塔を打ち立てたイチロー選手が現役引退を発表したが、日米通算4000本を超えるヒットを打ち続けたイチロー選手でも、最後のシーズンは一本もヒットを打つことができなかった。その事実は結果として、メジャーリーグで一本のヒットを打つことの難しさの証明となり、通算4367本の安打記録にさらなる重みを与えたように思う。

 イチロー選手がメジャーリーグでシーズン最多262本のヒットを放ったころ、素人目にはいとも簡単にボールを捉えているように見えた。そんな唯一無二の安打製造機の歯車を狂わせた要因として、ある専門家が指摘したのは、およそ一年にわたるブランクの存在だった。

 しかしながら、イチロー選手の強肩や走力は健在だった。一年近いブランクの間もトレーニングを怠らず、現役メジャーリーガーとして十分すぎるパフォーマンスを発揮していた。となると、イチロー選手にとってブランクと呼ばれる期間は肩と足には当てはまらず、打撃に関してのみだったと言えるのではないか。

 メジャーリーガーに限らず、一般のサラリーマンが自らの仕事に置き換えてみたときも、似たような現象を経験することがある。

 例えば、営業部門のエースとして鳴らした人が企画部門に異動し、数年ぶりに営業の最前線に戻った場合。かつては立て板に水がごとく商品説明し、顧客からの無茶ぶりにも瞬時に機転を利かせた切り返しができていたはずが、言葉に詰まってしまう。どうも調子がおかしい。こんな時、営業の最前線という戦場から離れていた期間は、やはりブランクなのかもしれない。

 では、営業職としてはブランクだったとしても、ビジネスパーソンとしてはどうなのだろうか。

 企画部門で様々な部署の人から意見を聞き、マクロ・ミクロデータを検証し、顧客のニーズや自社のシーズを分析した経験があれば、その経験はきっとビジネスパーソンとしての視野を広げているはずだ。あるいはプレゼンスキルを磨いたり、Excel関数やマクロなどを駆使して分析スキルも磨かれているかもしれない。

 となると、ブランクと言えるのは営業職としての現場感覚だけだ。その感覚もしばらくすれば取り戻せるだろうから、結果として企画部門に異動した期間はブランクどころか大いなる成長期間だったということになると思う。

 しかし世の中には、今もブランクとしかみなされない期間がある。「専業主婦」として家仕事に専念している期間だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン