ライフ

猫の「にゃー」は江戸時代以降、平安時代は「ねんねん」だった

写真/ゲッティイメージズ

 猫の鳴き声といえば「にゃー」を思い浮かべる人が多いと思うが、こう表現するようになったのは江戸時代以降だという。

 平安時代は「ねんねん」、鎌倉時代は「ねうねう」など、時代によって猫の鳴き声の表現は異なっていた。江戸時代以降、猫がペットとして飼われるようになり、徐々に鳴き声の表現が「にゃー」に定着していったといわれている。

 獣医行動診療科認定医の藤井仁美さんによると、猫が鳴く理由として、次の5つが考えられるという。

【1】ミルクが飲みたい、甘えたいなど、幼児期の猫が母猫に何かを要求する時

【2】発情期に交配相手を必要とする時

【3】相手の猫を威嚇して遠ざけたり、自分を防御する時

【4】飼い主に敵対している時

【5】飼い主に好意的な時

「【1】~【3】は猫同士がコミュニケーションを取る時に使い分ける鳴き声です。これに加え、家庭で飼われている猫の場合は、【4】と【5】の要素が入ってきます」(藤井さん・以下同)

 では、具体的に猫の鳴き声の意味を読み解いていこう。

「みゃー」「みゃおー」「しゃおー」や「にゃっ」と短く鳴いた時は、【1】や【5】の理由である場合が多く、ご飯がほしい、遊んでほしい、ナデナデして、など何かを要求している時だ。

【2】の発情期には、「あおーん」「おぅおぅ」といった少し甘えた声になる。発情期で異性にアピールしたり、人に甘えたい時に出す。

【3】や【4】などの理由で警戒している時は、「うー」「シャー」「カッ!」「あぉーーー」「ギャオー」など敵意を表す激しい鳴き方をする。

【1】【5】の鳴き声は、「お腹が空いた」、「遊ぼうよ」など、何か要求がある時だ。

【3】【4】の意味がある鳴き声は、「こっちに来るな」、「強いんだぞ!」など威嚇する時に出す。
 狩猟本能からくる興奮状態にある時に出す鳴き声。獲物を前にテンションが上がっている。また、室内から外を見ていて鳥などを見つけた時などに「ケケケッ」「アアアッ」「カカカッ」といった小さな声を出す猫もいる。

 なぜ、このような鳴き声を出すのか、真意はわかっていないが、一説によると、獲物を目の前にした興奮から、つい声が出てしまうのではないか、また獲物を捕獲したいのに近づけない葛藤から声が出てしまうのではないかと考えられている。

 また、猫はなでられたりすると「ゴロゴロ」といった音を発するが、これは鳴き声ではない。喉の奥の筋肉が動くことで、声門が振動して音が出ているという。

「猫が喉を鳴らす意味には諸説ありますが、飼い主になでられて幸福を感じている時以外にも、怖い時や不安な時にも喉を鳴らすことがわかってきました。これらのことから、猫はストレスを感じた場合、自己防衛として喉を鳴らすこともあると考えている専門家もいます」

 猫が人間に対して鳴く時は、ご飯をちょうだい、遊んで、など何かを訴えているケースがほとんど。言葉は通じないが、鳴き声に耳をすませば、心はきっと通じるはずだ。

※女性セブン2019年5月9・16日号

うとうと眠る猫。「気持ちいいニャー」ではなく「気持ちいいねんねん」?

うとうと眠る猫。「気持ちいいニャー」ではなく「気持ちいいねんねん」?

関連キーワード

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン