絵心が要らないということは、こうしたキャラ弁は誰にでも作ることができるということになる。尾関氏は30分程度で作ってしまうようだが、初めてでも、一時間くらいあれば作れそうだ。問題は、どういう素材をどのように使えばよいかなのだが、そのノウハウは、本書に収められた豊富な作品のなかに詰まっている。だから、もし機会があったら、孫娘のために、一度こんなキャラ弁作りをやってみようかなと思ってしまった。
いずれにしても、本書の一番の特長は、頭を使わずに、心の底から楽しめるということだ。お弁当作品を見つめているだけで、笑いがこみあげてくるし、ほのぼのとしたエッセーも楽しい。子供が描いたドラえもんに、大人の事情で「みんな大好き青いロボ」というタイトルがつけられているのも、ご愛嬌として、許せてしまうのだ。
※週刊ポスト2019年5月17・24日号