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サッカー日本代表戦も スポーツ中継「地上波離れ」の構図

■マルチチャンネルや衛星放送との連携など、「定番化」するネット配信

 一方、DAZNばかりががんばっているのか、というとそうではない。

 例えば日本テレビグループの一員であるHuluは、5月24日から26日に開催された「巨人vs広島」の中継で「マルチアングル」を導入した。中継といえば1つの映像を見続けるもの、というイメージが強いが、ネット配信ではいくつもの映像を同時に配信し、切り換えることもできる。今回の場合、ピッチャーとバッターの対戦にフォーカスした「センターカメラ」や、守備陣形が見られる「グラウンドカメラ」を用意し、それらも合わせて見ながら、試合を多彩にチェックできるようになっている。

 DAZNでもF1などでマルチチャンネル中継は行われており、テレビ放送とは違う魅力として定着する可能性もある。

 衛星放送であるWOWOWやスカパー!も、今はネット配信を組み合わせたビジネスになっている。

 放送は安定した品質で、テレビという大画面で気軽に見られるのが特徴だが、逆にそれが制約でもある。テレビの前に行かねば見られない、録画しておかないとリアルタイムで視聴しないといけないからだ。

 衛星放送の契約を止める大きな理由のひとつは「見る時間がない」こと、と言われている。忙しい人は、好きなスポーツがあってもなかなかテレビの前に行けない。深夜に起きているのも難しい。だから、「見られないので契約を止めてしまう」のだ。

 そこで衛星放送事業者も一計を案じた。彼らが提供したいのは「衛星放送」ではない。衛星放送は番組を届けるひとつの手段であり、同じものを契約者に「ネット配信」してもいいのだ。

 そこでWOWOWもスカパー!も、放送契約者には「アプリなどから同じ番組が見られる」ネット配信サービスを用意している。WOWOWは「WOWOWメンバーズオンデマンド」、スカパー!は「スカパー!オンデマンド」がそれだ。これらのサービスを使えば、出張などで自宅にいない時はスマホやパソコンから視聴できるし、リアルタイムできない時、後からオンデマンド視聴もできる。

 そうやって、衛星放送とネット配信の垣根もどんどん崩れているのである。

 サッカーファン、特に海外リーグを好むファンは、時差との戦いを長く続けてきた。しかし、ネット配信の普及により、その努力はずいぶんと軽減された。今回の「CONMEBOLコパアメリカ ブラジル2019」で映像配信が軸になるのは、時代の趨勢であり、ある種の必然とも言える。

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