ぴちぴちした魅力を国内の映画界は、まずもとめた。いっぽう、世界の映画人は、自分をおしころすような立居振舞に、多くを期待する。たがいに両立しがたく想えるふたつの要請を、しかし彼女はどちらもうけとめた。また、みごとに演じきったのである。
この自信もあってのことだろうか。彼女は、その後演技の幅をひろげ、さまざまな役をこなすようになる。一作品のなかで、キャラクターをかえてみせたりもした。分裂の危機をのりきり、女優として大成した秘密は、どこにあるのか。その一端を、著者は彼女の顔そのものにも、さぐっていく。
※週刊ポスト2019年6月14日号