殺傷事件を起こした岩崎隆一容疑者の自宅(時事通信フォト)
実際、3か月の入所で合計570万円を請求された例もある。この施設では利用者はアパートの一室に押し込まれて、食事も満足に与えられなかった。池上氏が警鐘を鳴らす。
「一連の事件で悩む親心に付け込んで悪徳業者が暗躍する怖れがある。この件で最も情報を持っているのは各地の『ひきこもり家族会』なので、そこで情報収集しながらアドバイスを聞き、最も適したやり方を慎重に選ぶことが大事です」
いきなり外部の人に相談するのはハードルが高いという人は、“距離のある”知人に相談してみるとよい。
「近所の人や会社の同僚など普段から親しくしている人には打ち明けにくいかもしれません。遠くに住んでいる親戚に聞いてもらったり、行政や支援団体の窓口では匿名でも相談できるので利用してみるといいでしょう」(高室氏)
働かず、結婚せず、家から出なくても、「生きたくない」とは思っていない。そんな子に刃物ではなく、救いの手を差し伸べるのが、老いても親の務めだろう。
※週刊ポスト2019年6月21日号