「錠数(種類)」を減らせる薬
そこでは、問題を解消する具体的手段として〈配合剤の使用〉、〈作用時間の短い薬剤よりも長時間作用型の薬剤で服用回数を減らす〉などが挙げられている。
医療経済ジャーナリストの室井一辰氏がこう解説する。
「『配合剤』とは複数の有効成分が1つの薬品に含まれるものです。例えば、それまで2錠飲んでいたのが、配合剤なら1錠で済むようになります。2つの薬をまとめたからといって粒が大きくなるわけではなく、むしろ小さくなるものもある。有効成分の量は同じなので効果が薄れることはありません。
2000年に発表された米国での研究によれば、1年後に服薬を継続できた患者の割合は、2種類の降圧剤を飲んでいた群が57.5%だったのに対し、配合剤群は70%だった。薬の数を減らすことが、適切な服用に直結するという研究結果です。
『長時間作用型の薬剤』とは、成分が体内で徐々に放出されるよう工夫されたものを指します。1日に複数回飲んでいたのが、これに切り替えると服用回数を減らすことができる。
薬の量が多ければ、どんなに気をつけても“飲み忘れ”“飲み間違い”が増えてしまう。少しでも飲む量や回数を減らすことが、薬を飲む手間を省くだけでなく、患者の健康を守ることに繋がるのです」
「服用回数」が減らせる薬
※週刊ポスト2019年6月28日号