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2019.06.26 16:00 週刊ポスト
【著者に訊け】芥川賞作家・柴崎友香氏 長編『待ち遠しい』
〈それなりに生活できて、自分の好きなことが少しできたらそれでいい〉と言う春子にも、〈一人で過ごさないといけない時間のために、こうして賑やかにしてたくさん力をもらうの〉と言うゆかりにも各々の生き方があり、誰かと過ごした時間や言葉は自分1人の時間を経由してこそ、糧になった。
「何かを受け止めるまでに時間差があるんですよね。友達の言葉があとになって理解できたり、誰かの悪意に家に帰ってムカついたり。でも怒れるだけマシともいえて、春子のように上司の暴言をその場の空気を優先して聞き流していると自分が何を感じているかもわからなくなりかねない。負の感情も含めて何が噛み合わないのかをきちんと言葉にし合うのが、人と生きるということだと私は思います」
その場合も100%わかり合える保証などどこにもないが、〈違うってことが、わかってなかったのね〉と言って彼女たちが言葉を尽くす時、「違う」は「同じ」より、豊かですらあった。
【プロフィール】しばさき・ともか/1973年大阪生まれ。2000年に前年発表の「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」を含む『きょうのできごと』でデビュー。2004年行定勲監督で映画化もされる。2007年『その街の今は』で藝術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞、咲くやこの花賞。2010年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞(2018年に映画化)。2014年『春の庭』で芥川賞。151cm、A型。「背が低いほうなので、電車の網棚ってこう使うんやとか、背丈の違う友達といるだけで世界が開けます(笑い)」。
構成■橋本紀子 撮影■国府田利光
※週刊ポスト2019年7月5日号
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