国民民主は参院でも改憲勢力の日本維新の会に統一会派を組むことを申し入れるなど、改憲反対の立憲民主など他の野党とはっきり一線を画す姿勢を見せている。参院選の結果は、自民、公明、維新の改憲勢力では3分の2に4議席届かなかったものの、国民民主(参院21議席)が加わればクリアできる。安倍首相の野党分断工作は早くも成果をあげつつある。
自民党幹部は「憲法改正に向けた地ならしは序の口。総理は総選挙後に維新、国民民主を加えた改憲大連立も視野に入れている」と自信ありげな口ぶりだ。政治評論家の有馬晴海氏はこう見る。
「永田町の常識では増税後の総選挙はタブーです。しかし、今回はそうではない。自民党内には参院選勝利で有権者は消費税率引き上げを容認しているという見方が強く、むしろ、総選挙が来年の東京五輪後になると景気減速と増税の影響をまともに受けて負けると不安視する声が大きい。
その点、11月解散、12月総選挙は五輪前の最後の解散のチャンスで、その日程であれば海外の要人を招いた即位関連行事で国民の祝賀ムードの追い風があり、消費増税に合わせたポイント還元制度や低所得者対策の年金生活者支援給付金(最大年6万円)をアピールできる。だから勝てるという計算があるのでしょう」
折しも、11月19日には安倍首相の首相在任期間が桂太郎に並んで歴代1位になり、その後の総選挙であればレガシーも残せる。官邸は解散まっしぐらなのである。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号