ライフ

タピオカの次は「マー活」ブーム 四川よりも辛い中国料理は?

花椒の麻(マー=痺れ)の味を楽しむのが「マー活」だという

 真夏にあえて激辛料理を食べ大汗をかく──それもまた、猛暑をやり過ごすためのスタイルの一つだろう。巷では、四川料理などの激辛料理を食べ歩く「マー活」が流行の兆しを見せている。中国史が専門で各国料理の歴史にも詳しい作家の島崎晋氏が、各国激辛料理について解説する。

 * * *
「婚活」「朝活」「タピ活」など、「〜活」という新語が次々と出てくるなか、昨今は「マー活」という言葉もよく耳にするようになった。「マー活」の「マー」とは麻婆豆腐の「マー」のこと。「タピ活」が流行のタピオカドリンクを好んで飲むことなら、「マー活」は「マー」を好んで食べることだ。

 世界の激辛料理といえば、トウガラシをふんだんに使用したメキシコ、韓国、タイ、ミャンマー、ブータン、中国の四川などの料理が有名である。ヨーロッパではイタリアン・パスタのアラビアータくらいだろうか。その中で「マー活」の対象と言えるのは、四川料理だけである。「麻辣(マーラー)」という言葉はよく知られているが、「辛さ」を意味するのは「辣(ラー)」のほうで、「麻(マー)」は「痺れ」を意味する語、すなわち「マー活」は「痺れる料理を味わう」ということなのだ(狭義では「四川料理を食べる」「痺れる麻婆豆腐を食べる」といったことを指す人もいるらしい)。

 トウガラシが中米原産であるのに対し、「痺れ」の源である花椒(ホアジャオ)は四川省原産で、単に山椒と呼ばれることもあるが、日本原産で鰻重に欠かせない山椒と区別するため、唐山椒とか中国山椒、四川山椒などと呼ばれることもある。

 日本人が長らく親しんできた甘辛い味が特徴の麻婆豆腐は「料理の鉄人」として名高い陳建一氏の父で、「日本における四川料理の父」と称される陳建民氏が日本国内で入手しうる材料だけで作れないかと試行錯誤のすえ考案したもの。

 それに対し、「マー」が効いている本場の麻婆豆腐は舌が痺れてビリビリするほどで、日本人にとっては「万人受け」とは言えないだろう。ちなみに、本場の麻婆豆腐が味わえる筆者一押しの店は、四川省成都市に本店があり日本にも数か所の支店がある『陳麻婆豆腐』だ。

 一方、中国には、「四川人は辛さを恐れず、湖南人は辛くとも恐れず、貴州人は辛くないのを恐れる」という言葉がある。四川料理よりも湖南料理のほうが辛く、貴州料理はそのさらに上を行くという意味である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン