「このサイトを見てください。あの女性は、このサイトで客を募っているのです。健全なマッサージ屋のようでしょう? 実態は違うんです」
丸井さんが見せてくれたスマホ向けサイトは、確かに一見、健全に見える、地域の「マッサージ店」情報を集めたサイトだった。しかし、それぞれのマッサージ店の評判を書き込む掲示板を見てみると、それらのマッサージ店が実際にはどんなサービスを行っているのか、容易に想像できた。
「表向きはメンズマッサージとか、リラクゼーションとか書いてある。しかし、利用者と思しき人たちの書き込みを見ると、オプションのサービスの為には追加でいくら払ったとか、そういった情報交換がなされています。これが普通のマッサージ店と言えるでしょうか?」
確かに、書き込みにはどこまでサービスしてもらえるか、そして「あんな住宅街にあるなんてびっくりした」などといった、生々しく思えるものが複数寄せられている。筆者が目撃した女性の特徴をぴったり言い当てたような記述もあり、情報がまるっきりの嘘である、とは思えない。女性は、住宅街の一軒家を使って、本当に商売を行なっているのか?一軒家に入ったことを現認してから三時間後、Tシャツ短パン姿で出てきた男性に、筆者は直撃した。
──マッサージをされてきましたか?
「なんなんですか、そうに決まっているでしょう?」
──とあるサイトに、ここがオプションで特別なサービスを受けられると書かれています。あなたもそうした情報を見てきましたか?
「そんなわけないでしょう?」
──特別サービスに必要な届け出がされていないようです。知っていて利用しているんですか?
「それは……」
足を止めた男性・X氏は、急に観念したように項垂れると、筆者に全てを話してくれた。
「ネット掲示板やSNSで、この(一軒家の)店は追加料金さえ払えば色々できると評判でした。こういった、マッサージとかリラクゼーションサロンを装った店については、さかんに情報交換がなされています……」
情報誌の関係者が次のように証言する。
「かつては、私共が作っているような雑誌で情報を得るのが一般的で、違法サービス店情報を積極的に出すようなことはしなかった。でも今は、SNSで違法サービス店を開設している本人が、ネット上の掲示板などで自ら情報発信、営業ができます。利用者は、精査されていない情報をそのまま受け取ってサービスを受けに行ってしまう。その先では、個人を装って背後に反社組織が潜んでいて脅されるなど、様々なトラブルが潜んでいるにも関わらず、です」