「ブルックリン ソラチエース」(キリン・左)と「SORACHI 1984」(サッポロ)
商品名にもあるように、「ソラチエース」というホップは、35年前の1984年にサッポロが品種登録したホップで、産地は北海道空知郡上富良野町。だが、「当時はその後、1987年に『スーパードライ』(=アサヒビール)が出たこともあり、トレンドはキレやゴクゴクと量が飲めることだった」(サッポロのクラフト事業部ブリューイングデザイナーの新井健司氏)点や、以前、同社の高島英也社長も「香りに特徴があり過ぎて醸造技術を使い切れなかった」と語っていたことから、「ソラチエース」は陽の目を見なかった。
その後、「ソラチエース」は10年後の1994年に米国に渡り、クラフト先進国の米国では特徴ある香りが逆に受け入れられ、このホップが栽培されるようにもなった。そして「ブルックリン ソラチエース」が誕生。ちなみに、同商品のホップはワシントン州産のもので、サッポロから購入しているわけではない。
サッポロの「SORACHI 1984」も、やはり米国産の「ソラチエース」を使用している。前述した、本家本元の上富良野産100%の「ソラチエース」は少量しか収穫できないため、商品化しても数量限定となり、かつ高価になってしまうのだ。
サッポロでは市場の受容性をテストするため、アマゾン限定で、同ホップを含む上富良野産4種のホップを使った、数量限定ビールの販売も予定(予約は9月5日からで販売は11月29日)しているが、8本入り(1本は305ミリリットル)で税抜き4800円と、やはり値が張る。
レモングラスなどを想起させる味わいのクラフトビールは数多いが、「ソラチエース」の場合、唯一無二ともいえる、ヒノキライクな香りや味わいが最大の特徴になっている。
キリンが輸入する形で、ブルックリンブルワリー・ジャパンを通じて販売されている「ブルックリン ソラチエース」は、アルコール度数がやや高めの7%なのに対し、「SORACHI 1984」は5.5%。前者は「シーフードとのペアリングが抜群」(キリン幹部)としている一方、後者は、ヒノキライクな香りや味わいの特徴が、より際立っている印象だ。