渋野選手が優勝した試合や試合後のコメントからは、自然体で自分らしく、気負わないというメンタルの強さが見えてくる。そして、これを支えているのが彼女の高い「マインドフルネス特性」ではないかと思う。

 マインドフルネスとは「『今、ここ』での経験や瞬間に対して、評価や判断をすることなく注意を向けること」と定義される。そして、体験されるマインドフルネスの程度や、マインドフルネス状態の経験のしやすさをマインドフルネス特性という。

 マインドフルネス特性には、「瞬間的に行っている行動への気付き」、「感覚や情動に対して判断しない」、「観察」などいくつもの要素がある。これらの特性が高ければ、必要に応じて集中したり、注意を切り替えたりする能力が高くなるという。プレッシャーに負けず、他者からの評価を恐れない。周りの選手の不調やマイナス感情に影響されず、不安やネガティブな感情にも引きずられずに、穏やかで安定した心理状態を維持できるといわれる。

 渋野選手は、全英女子オープンの試合中に駄菓子を食べる様子が話題となるなど、まるっきりの自然体。屈託のない明るい笑顔で「スマイルシンデレラ」と呼ばれた。優勝後のツアーでは、プレッシャーや葛藤が垣間見え、感情が表に出てしまうこともあったが、今回の「デサントレディース東海クラシック」では、そんな自分を立て直している。初日に「自分らしさを久しぶりに出せた」と話し、最終日には増えて行くギャラリーを前にしても「今日はプレッシャーにも感じず楽しんで、見渡してプレ―できてた」と笑顔でコメント。持っているマインドフルネス特性をフルに発揮して、強いメンタルを維持できたということだろう。

 すでに今期の獲得賞金は1億円を突破。次の目標は「賞金女王です」と宣言した渋野選手。次はどんな試合運びで観客を魅了してくれるのだろうか。

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