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逆転Vの渋野日向子が“持っている”「マインドフルネス特性」

快進撃が止まらない渋野日向子(Gatty Images)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、逆転優勝を果たした、プロゴルファーの渋野日向子選手を分析。

 * * *
 シブコはやはり“持っている”。次々と快進撃を続け、記録を塗り替えていく渋野日向子の活躍を見ていると、そう思わずにはいられない。

 9月22日に行われた「デサントレディース東海クラシック」最終日、渋野選手は首位と8打差の20位でスタート。おそらく試合を見ていた誰もが、彼女の優勝は無理だろうと思っていたはずだ。当人でさえ、「逆転はほぼ無理だと思っていた」とコメントしたぐらいだ。最初のうちは、渋い表情を見せていたが、4番ホールで最初のバーディーを取るとようやく顔がほころんだ。

 その後も渋野選手の勢いは止まらない。笑顔もだんだん満面の笑みへと変わっていく。16番ホールでは難しいリカバーに成功。ボールがカップへと吸い込まれていくと、右腕を強く振り、ギャラリーの歓声にこぼれおちそうな笑顔で応えた。台風17号の影響から最終組は雨や風に悩まされたが、シブコは天候に恵まれ、終わってみると8バーディー、ノーボギーのベストスコア「64」をマーク。優勝するという大逆転劇を起こし、メディアは一斉にこの逆転Vを「奇跡」と報じた。

 これまでの数々の活躍でも、「勝利の女神が微笑んだ奇跡」と書くメディアは多かった。初優勝したのは今年5月の「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」。国内メジャータイトルを20才178日で優勝し、史上最年少Vになった。8月には、全英女子オープンで日本勢として42年ぶりの優勝という快挙を成し遂げ、“シブコフィーバー”が湧き起こる。9月の「日本女子プロ選手権大会コニカミノルタ杯」でも、国内大会で29ラウンド連続オーバーパーなしのツアー最長記録を達成した。

 ここまで来ると、奇跡というより、「奇跡を起こす力」、「運をコントロールする力」があるような気がしてくる。これこそが彼女が“持っている”と思わせる所以であり、その土台にあるのは、ここぞという時にチャンスをものにして鮮やかなまでの結果を出せる心理的競技能力、いわゆるメンタルの強さだ。

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