違法動画の蔓延による販売不振により業界のビジネスモデルが崩れたわけだが、なかでも深刻なのは、新人女優の売り込みが、困難を極めるようになったことだ。
「誰でも最初は新人なわけですが、そのデビュー作の販売数が伸びないと、次に繋げづらい。最低でも数千本は売れて欲しいのですが、最近は数百本というときもある。せっかく良い作品でデビューできても、利益が出なければ次回作に響きます。今は有名女優でも作品に出るだけでは売れない時代です。販売促進のイベントをさかんにやって、そのイベント参加券をつけたりしています。接触イベントは危険も少なくないですが、それでも頑張って女優さんみずからSNSで宣伝してくれていますね。ほかに、作品制作のためのクラウドファンディングなど、新しい試みも始まっていますが、業界全体の苦しさを思うと、焼け石に水かもしれません」
偏見が先立つ業界ではあるかもしれない。しかし、法に則り営業しているR18映像業界の正当な権利を守らなければ、犯罪の温床になってしまうなど負の連鎖が続き、結局はさらに悪い事態が引き起こされる。良識的な人からは目くじらを立てられるようなコンテンツであっても、権利は権利。真っ当に仕事をしている人たちの権利が踏みにじられていることを黙認すれば、潰れるのはその真っ当な人間だけではない。誰かの権利をないがしろにするということは、権利者に不利益を生じさせるだけでなく、様々な不測の事態を呼び込むという現実があることを、今一度認識しておく必要があるだろう。