◆「ハレー彗星」
イギリスの天文学者エドモンド・ハレーは、1682年に出現した彗星の軌道を計算した。その結果、周期は約76年で、次にこの彗星が現れるのは1758年であると予言した。予言どおりに彗星が現れ、その功績を称えて、この彗星はハレー彗星と呼ばれることとなった。
しかし、少なくとも紀元前240年の時点で、中国の「史記」「秦始皇本紀」という史書の中に、この彗星のことが記述されており、彗星の発見という点では、先人がいたことが明らかになっている。
◆「ガウス分布」
確率論や統計学の分野で重要な確率分布である正規分布は、ドイツの数学者ガウスの名前を冠してガウス分布と呼ばれている。ガウスは、19歳頃に正十七角形の幾何学的作図(コンパスと定規での作図)に成功したのをはじめ、整数論、級数論、方程式論などの数学の諸分野で業績を残し、「数学王」の異名をとっている。また。彼は天文学や電磁気学にも精通していた。
しかし、ガウスが正規分布を使い始めたとされる1794年より前の1733年の時点で、イギリスの数学者ド・モアブルによって、すでに正規分布は紹介されていたという。
◆「フェルミの黄金律」
イタリアの物理学者フェルミは、量子力学で、量子系のあるエネルギー固有状態から別のエネルギー固有状態への単位時間あたりの遷移確率を近似計算する方法を定式化した。この方法は、彼が「黄金律(golden rule)と称したことから、フェルミの黄金律と呼ばれることとなった。
しかし、この黄金律を導くのに必要な業績の多くは、イギリスの物理学者ディラックによってもたらされたものであって、実際にはすでに発見されていたものだったといわれている。