日本ラグビーの精神的支柱・田中(撮影/藤岡雅樹)

 堀江と田中。1984~1985年に一世を風靡したラグビードラマ『スクール☆ウォーズ』(TBS系)が放送された頃、同じ関西で生まれた。2人も悔し涙をたくさん流してきた。

 以前は世界に押され負けていたスクラムを、今大会で日本の武器にまで進化させた堀江は、「リポビタンD」のCMでも一躍有名に。『兵、走る』(B’z)のBGMで〈2015年に頸椎の手術をして2018年に足首の手術をした。それでもラグビーを諦めない〉とトレーニングをする姿が、毎日テレビで流れている。コワモテに映るドレッドヘアは、小学生時代の初恋相手の妻・友加里さんに編んでもらっているという。友加里さんは「W杯はこれが最後と言っています。悔いなくがんばってほしい」と、愛のしるしを振り乱して突破する姿を、見守っている。

 一方、最も小柄な166cmの田中は、誰よりも日本ラグビーへ情熱を傾けてきた。

 4年前。日本がV候補国の南アフリカを破り日本中を驚かせた2015年W杯直後だった。五郎丸歩(33才)の「五郎丸ポーズ」がブームとなる中で迎えた、ラグビーのトップリーグ開幕戦。日本ラグビー協会の不手際で、観客席がガラガラとなると、協会に自ら電話をかけ「ぼくらはすべてを犠牲にして、命をかけてやってきたのに!」と、烈火のごとく抗議した。たとえ協会のお偉方に眉をひそめられることになっても、ラグビーの灯りを消してはならない。使命感だった。

 田中はしみじみ言った。「北海道・網走でのW杯直前合宿。ただの練習に1000人近いファンが見に来てくれました。リーチと『昔はこんなこと絶対なかったよな』って話して。赤白のジャージーを着てる子供たちの姿に、熱いものがこみ上げました」

 それぞれの思いをぶつける夢の準々決勝は10月20日、日曜日。東京スタジアム(調布市)で、前回大会で大番狂わせを起こした因縁の相手・南アフリカと戦う。奇しくも、これまでの日本ラグビー界で、最も有名だった元日本代表監督の平尾誠二さん(享年53)の命日にあたる。

 ジェイミー・ジョセフHC(49才)は、平尾監督時代の日本代表選手だ。田中は、伏見工高で平尾さんの後輩にあたるなど、ゆかりだらけだ。そんな天国にいる先人の夢も背負って、ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)は、季節外れの満開の桜を咲かせる。

※女性セブン2019年10月31日号

ドレットヘアは妻に編んでもらっているという堀江(撮影/中村功)

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