人々が検索するタイミングが狙われる

 そして「Yahoo!で名前で検索したときにはYahoo虫眼鏡(関連キーワード)を入れると検索結果から多く見に来てもらえると教えてもらった」と、本来は調べやすくするためのツールを、自分が作成した記事への誘導に利用している。

 Yahoo!虫眼鏡とは、Yahoo!で検索したときに、検索結果の上下に虫眼鏡マークがついた状態で表示される関連キーワードのこと。検索される可能性が高いと思われる関連キーワードを表示する機能のため、記事中に網羅することで検索結果に表示される可能性が高くなるというわけだ。

◆「無実の人を犯人」とするデマ拡散も

 トレンドブログは瞬間的な検索ニーズに応えるために、短時間で一気に作られるものだ。調べたくなるニュースがメディアで報道されてから1~3時間程度で次々と作られる傾向にある。前述の主婦は、「クラウドソーシングで、一記事あたり数百円でトレンドブログの記事執筆の案件を引き受けているママ友もいる」という。キーワードやテーマの指定を受けて執筆すると、記事の本数に合わせた報酬が得られる仕組みだ。トレンドブログ運営者が執筆を外注して効率化を図っていると考えられる。

 ただしトレンドブログには問題も多くある。アフィリエイト商材としてブログ制作が人気となり、次々と新しいものが乱立。その多くは前述のようにSNSやネットで集めた情報でのみ集めた情報からなるため、ニュースのふりをしながら誰でも知っていることや既報を並べただけの、内容がないものも多く混じっている。

 トレンドブログの被害は、目的の情報を見つけにくくなるという検索結果汚染にとどまらない。前述の主婦いわく、「同じことを書いていてもPVが集まらないから過激化していく人もいる」という。内容を過激化していった結果、デマを拡散するものも出ているのだ。

 今年8月に、常磐自動車道であおり運転傷害事件が起きて話題となった。容疑者の男が被害者の男性に対してあおり運転を行い殴ったり、男の車に同乗していた女が被害者を携帯電話で撮影したりする姿が車載カメラに映っており、連日テレビでその映像が流れたことは記憶に新しい。トレンドブログはこぞってこの事件を取り上げたが、その結果、事件とはまったく関わりが無い無実の女性を、その事件に立ち会っていた女だとするデマが拡散されてしまったのだ。

 デマが拡散され、無実の人に誹謗中傷が集まった例はこれだけではない。2017年6月には、東名高速であおり運転で停車させられたワゴン車がトラックに追突され、夫婦が死亡した。この事件で、建設作業員の男がワゴン車を停止させて追突事故の原因を作ったとして逮捕されている。

 このとき、やはりこの事件が多くトレンドブログで取り上げられた。容疑者にとどまらず、男の名前や住所、職業から、親族を特定し始めたのだ。その結果、無関係な建築会社を容疑者の勤務先、同社社長を容疑者の父とするデマが広まってしまい、営業妨害につながることになった。

 フェイクニュースを拡散したサイトは、通報されGoogleの広告が載せられなくなるなどのペナルティを受ける。また、このときにデマをネット上に投稿したとして名誉毀損で訴えられた男性9名は、福岡地検小倉支部は不起訴としたが、小倉検察審査会によって「起訴相当」とされ、地検小倉支部による再捜査が決定している。ネットでのデマ拡散が、犯罪とされたのだ。

 ネットでのお小遣い稼ぎ手段は複数あるが、トレンドブログが溢れ返る現状、普通に運営していては多くは稼ぎづらいようだ。PVを集めようと過激化すると、罪に問われる可能性もある現状は知っておくべきだろう。

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