国内

関電3億円還流事件 表に出ない「元助役」が頼った元身内

記者会見で頭を下げる関西電力の八木誠会長ら(時事通信フォト)

 高浜原発のある福井県高浜町の元助役・森山栄治氏(2019年3月死去)から関西電力経営幹部が総額3億2000万円相当の金品を受け取っていた問題で、同社の八木誠会長の辞任が発表された(10月9日)。

 これまで、森山氏が過去に地元で力を持つ人権団体に籍を置いていたことや、関電内で「Mさん」と呼ばれ、原発誘致の際に地元のまとめ役を担っていたこと等が報じられてきたが、金銭受領の流れや、彼が関電に食い込んだ経緯を含めて、いまだ謎は多い。

「森山氏の後ろ盾となっていた黒幕に誰も迫っていないからです。この人物を掘り下げない限り、3億円還流の深層は見えてこない」

 そう語るのは、長年関電の原発誘致に関する取材を続けてきたジャーナリストの齊藤真氏だ。

「関電の元副社長、内藤千百里氏(2018年1月死去)です。1962年から芦原義重社長(当時)の秘書を務め、政財界に深いパイプを築いた内藤氏は、『関電最後のフィクサー』とも言われ、同社の政界工作を一手に担ってきた。

 関電が美浜、大飯、高浜と原発を作っていく過程で、内藤氏が目を付けたのが、地元に影響力を持つ森山氏だった。やがて2人は蜜月になり、内藤氏が政界工作をする傍ら、森山氏はその右腕として地元工作を担った。内藤氏の自宅に森山氏が頻繁に出入りしていたという証言もある。森山氏はこの内藤氏を後ろ盾に、関電本体に対しても影響力を強めていったのです」

 内藤氏は2014年に朝日新聞で、1972年から18年間にわたり、歴代首相に対して「毎年盆暮れに1000万円ずつ献金してきた」と告白し、波紋を呼んだ人物でもある。

「関電にとって森山氏の問題は、その背後にいた“元身内”に通じる頭の痛い問題です。だからこそ、このまま沈静化することを願っているのではないか」(齊藤氏)

 関電に内藤氏と森山氏の関係について聞くと、「両者の関係は承知していない」との回答だった。

※週刊ポスト2019年11月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン