「掘削した土砂の総量は東京ドーム18杯分にも及んだとの記録が残る大事業を指揮したのは、日本人で唯一パナマ運河建設工事に携わった技術者・青山士でした。その事業の中で、1924年に完成した『岩淵水門』(東京・北区)が河川の氾濫防止に果たしている役割は大きいと考えられます。
上流にある荒川の水量が増した際に岩淵水門を閉じることで、下流の隅田川への流水量を抑える役割を持っています。今回の台風19号や、1947年(昭和22年)のカスリーン台風でも岩淵水門は閉じられ、下流の氾濫、決壊を防ぎました」(古賀氏)
日本の堤防は、先人の知恵によって守られているのである。
※週刊ポスト2019年11月1日号