例えば、阪急岡本駅の山側に並ぶ3軒の民家が店舗に改装され。人気を呼んでいる。岡本駅の南側はJR摂津本山駅に続く緩やかな斜面に商店街が続いている。
「北側はすぐに住宅が並んでいたところなので、私たちで“裏岡本”と呼んで盛り上げようとしているんです。先日も、以前、ここにお住まいだったという方がお見えになりました」
と、女性向けの古着や雑貨も扱う「マザーミーツ喫茶店」の店主、浅見瞳さんが話す。
民家を改造した店舗なので、カレーレストラン「ヒーハーカレー」でカレーを食べていても、ブティックでコーヒーを飲んでいても、まるで知り合いの家に招かれているような、ゆったりした時間が流れる。
ヒーハーカレーのオーナーでデザイン会社を経営する家崎美明さんは、「岡本でも表通りはビルに建て替わり、チェーン店になっています。少し外れた裏通りなどで個人店が頑張っているのです」と話す。11月からはこうした個人店7店のオーナーで協力し、カルチャーやグルメの学びの教室を28コース開設する「裏岡本学園」も開催する。
岡本駅には女子大学があり、もともと若い女性の割合が高く、おしゃれなブティックや雑貨店が並ぶ。さらに高級住宅地を控えていることから、老舗のパン屋や料理店なども多い。
そんな町に最近、若い世代が「古民家」のような個性的な店を開くケースが増えた。
駅の南側、商店街の通りから一筋入ったところの集合住宅「マンション藤」の1階にはユニークな店舗が並んでいる。その中の一軒、「まめ書房」は沖縄の本と工芸の店だ。セレクトショップとして沖縄産の工芸品や食品なども並ぶが、中心は沖縄に関する書籍。関西でも、沖縄関係の書籍をここまで揃えている店は他にないだろう。本を眺めていると、さんぴん茶を勧められた。
このマンション藤は、2階以上には普通に住民が住んでいるので、1階の店舗に行くのも、まるで誰かの住んでいる住宅を訪問する気分だ。昔の集合住宅の鉄製の扉を開くと、店舗になっている。