「最近はスタバやコメダ珈琲が出てきたけど、もともと喫茶店も少なく昼食も弁当が当たり前。ふだんは会社に行くときにランチジャーとスープジャー、水筒を持たされ、外で物を買うといったら週刊誌ぐらい。使うことがないから銀行のカードも持ち歩かない。持っているのはガソリンスタンドで使うクレジットカードぐらい。休日は遊ぶ場所も少ないから、自宅でDIYが多いかなあ」(夫)
別の富山在住者(50代男性)は「海も山も車で行けばすぐ。アウトドアで遊ぶ分には金はかからないよ」とおおらかだ。
これならば多額の小遣いは不要かもしれない。しかし、他の家族の小遣いが多いのはなぜか。
「3世代同居で夫婦共働きという家庭が多いことが関係しているかも。家ではおばあちゃんが家事をして、おじいちゃんが孫の保育園や学校、野球やサッカーの送り迎えをしている。それが日常的な光景です」(妻)
都会ではほとんどみられない、ほのぼのとした家庭像が浮かんでくる。そうした環境の中で、世帯主だけでなく、奥さんと同居する両親、そして子ども(複数かもしれない)、合わせて4人以上の小遣いが、分け隔てなく割り振られているのだろうか。あるいは同居する両親に家事や、子供の面倒を見てもらっているので多めに渡しているのだろうか。
謎の完全な解明には至らなかったが、一連の取材で富山の人々の裕福な経済環境と堅実なライフスタイルを垣間見ることができた。標高3000メートル級の山々が聳える立山連峰と天然のいけすと言われる富山湾という大自然に囲まれ、おいしい水と海産物、そして自然の遊び場に恵まれた豊かな暮らし。これならば小遣いなんて少なくてもいいか。