もう1つは、私が20代半ばの時。近所に5才の女の子が住んでいた。親子ほど年が違うけど…相性が悪かったのね。私が持っていたお菓子を「ちょうだい」と言いながら、その子がスッとかっさらった瞬間、私は無言で小さな手の甲をつねっていた。

「叩いてもいいけど、つねられると根性が悪くなるから、しないでね」

 どこかで見ていたのね…その子の母親にそう言われたの。叩くと音がして周囲にバレるからつねったんだけど、その時、初めて自分のしたことを恥じた。

 *

 殴られて育った子が、殴る大人になる、というけど、それはホントだと思う。

 私は物心ついた時から母親のゲンコツをくらってきた。

「自分で産んだ子供を煮て食おうが焼いて食おうが親の勝手だ」と、何度言われたか。

 小さいうちはそれを真に受けて、母親を恐れていたけれど、小6で身長が逆転してからは、口答えが激しくなった。

 あれは中学2年生の時。母親が何かで私を怒ってゲンコツをくれた。頭に来た私は、台所から包丁を持ち出して、「殺れよ、ホラ。そんなに憎いなら殺れ」と、母親の前に包丁を投げ出したのよね。

 それきり母は私に手を上げなくなった。そして親と子というより、女同士に近い関係になった。

 どれだけ本気で自分を叱っているのか、子供はわかる。ただ怒っているだけなのもわかるし、外でうまくいかないから、弱い自分に八つ当たりしていれば、それもわかる。わかりながらも、親の気を引きたくて怒らせることをするのが子供なのよ。他人の物を盗んだ時に罰で尻を叩かれても仕方がないと思っているって。

 最近ニュースになっている親の体罰、虐待がただ事ではないのは、「しつけ」を隠れ蓑にしているからよ。

 義理の父親が年端もいかない子に「お前のためだ」と制裁を加えて、命まで奪うって、どう考えても異常でしょ。そんな異常な事件を引き合いに出しながら体罰のガイドラインを作ってるんだから、こんなの真に受けなくてもいいんじゃない? どうかしてるよ、厚労省。

※女性セブン2020年1月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン