ヒゲダンの音楽家としての価値を上げた「宿命」(画像提供/ポニーキャニオン)
そこから約2か月というインターバルでリリースされた『熱闘甲子園』書き下ろしテーマソング「宿命」は、力強さと葛藤を雄大に表現する。「Pretender」だけのイメージに収まらない幅広いソングライティング力は、より音楽家としての価値を上げた。彼らの環境が変わろうと、彼らはただずっとひたすら自分たちの納得する、美学が通った音楽で勝負してきた。その硬派な姿勢はまさにヒーローだっただろう。
彼らはメンバーもそれぞれ個性的なキャラクターの持ち主で、藤原とギターの小笹大輔は大のメタル好き。そのテイストは楽曲にも表れており、TVアニメ『火ノ丸相撲』オープニングテーマ「FIRE GROUND」の小笹のハードロックど真ん中なギターは痛快だ。
可愛らしいルックスとのギャップも小気味いい。ベースの楢﨑誠は音楽の教員免許も所持するだけでなく、島根県警察音楽隊でサックスを吹く仕事をしていた経験も持つ。サックスプレイヤーとしてもバンド内で手腕を振るっており、ヒゲダンのホーンセクションの多彩さは彼の存在も大きく影響していると言っていい。
ドラムの松浦匡希は藤原と楢﨑の後輩にあたり、「ちゃんまつ」の愛称でファンからも慕われている。ヒゲダンのサウンドをタイトなビートでしっかりと支え、バンドのグルーヴは彼の包容力があるからこそだ。
良曲をリリースし続けるだけでなく、バンドを掘れば掘るほどギャップや人間味が発見できるため、リスナーもどんどんその魅力へとのめり込んでいく。まだまだ彼らの秀でている点や魅力的な点は多々あるが、それはぜひみなさんそれぞれで見つけていただきたい。