◆ネズミの踊り食いや鹿の胎児も
武漢では食材だけでなく、料理も仰天メニューが並ぶ。新型コロナウイルスの感染源とされるコウモリは中国では由緒ある高級食材だ。
「コウモリ料理は明代の薬学書『本草綱目』に記載されている高級食材です。味は鳩や鴨に似ています。咳止めや胃から奥舌までの熱を下げる効果があるとされ、発熱した子供にも食べさせます」(中国人ジャーナリスト)
鹿の胎児(100元=1700円)も人気の健康食材だ。
「鹿の胎児や鹿の角は滋養強壮の効果が知られ、鹿の骨を出汁にしたスープに鹿肉を入れる“鹿づくし”の料理が一般的です。また、ウサギの頭部のやわらかい肉を麻辣や五香粉で味付けすると最高の味になります。豚の脳みそはフワフワした触感で芳醇な味わいがあり、生臭さがまったくありません」(前出・中国人ジャーナリスト)
「究極の珍味」と称されるのがネズミの躍り食いだ。
「生まれたばかりで、親指ほどの大きさもないネズミの赤ちゃんをしょうゆや黒酢など好みのタレにつけて、生きたまま躍り食いをします。口に入れるまでにネズミが3回鳴くことから『三只耳(3度鳴き)』と呼ばれます。淡白で臭みもありません」(前出・中国人ジャーナリスト)
食文化は国によって違って当然だが、不衛生な野生動物は、ウイルスを媒介するリスクがある。
「新型コロナウイルスを持つコウモリを食べた人や、コウモリを食べたヘビを食した人が感染したという説があります。また、市場でコウモリなどを処理した際、飛び散った血や排泄物が人間の手などに付着し人体に入ったともいわれます」(前出・中国人ジャーナリスト)
動物からヒトへの感染は大きな危険を伴う。自治医科大学附属病院感染制御部長の森澤雄司医師はこう話す。
「野生動物はウイルスを宿すことがあるので、衛生的な環境で屠殺して精肉しないと、ウイルスがヒトに伝染する可能性があります。しかも本来はヒトにうつらないウイルスが偶然にも感染した場合、ウイルスとヒトの相性によって思わぬ感染力や毒性の強化につながる恐れがあります」
1月26日、中国当局は野生動物の取引の一時的な禁止を命じた。
※女性セブン2020年2月13日号