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健康診断の落とし穴 心電図、エコー、骨密度検査の場合

検査より先に「痛み」でわかる

 健康診断に欠かせない心電図は心房細動などの不整脈を見つける検査であり、死に直結する心筋梗塞の発症リスクを見積もるのは難しい。ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師はこう指摘する。

「心臓に十分な血液が供給されないと狭心症になり、それが進行して心臓の筋肉が壊死すると心筋梗塞になります。血液不足や心臓の壊死は検出できますが、その状態のときには胸痛など他の症状も併発しているはずです」

 心臓を超音波で観察する心エコー検査でも心筋梗塞を察知することは困難だ。NPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が指摘する。

「心エコー検査は、超音波によってリアルタイムの心臓の画像をとらえることにより、心臓の筋肉が問題なく動いているかどうかを観測できます。しかし心臓の血管が詰まっているかどうかまでは把握できず、心筋梗塞の前兆を捉えることはできません。心筋梗塞を発症後に心臓がどんな状態になったかは診断できますが、発症を予見して突然死を防ぐことは難しい」

 健康診断や人間ドックでおなじみの腹部エコーは肝臓や膵臓の状態を調べる検査だが、わかることとわからないことがある。

「腹部エコーは“沈黙の臓器”と呼ばれる肝臓の状態を的確に把握できる優れた検査で、肝臓がんにつながる脂肪肝や慢性肝炎、肝硬変を見つけられます。しかし胃や大腸、肝臓に囲まれている膵臓は画像でとらえることが難しく、がんを発見することが極めて困難です。膵臓がんが見つかった時は手遅れというケースも多い」(上医師)

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