◆調光・調色できる照明をもっと生活に生かして

 ひとつのリビングルームで朝昼は白い光、夜はオレンジ色の光にできるよう、調光・調色機能のあるLED器具や電球も増えてきている。

「調光・調色対応の電球は、新たな配線工事が不要で、専用のリモコンスイッチがあれば従来の照明器具に取りつけるだけで調光・調色ができるタイプもあります。天井に取りつけるシーリングライトは、天井に引っかけるシーリングローゼットが設置されていれば、工事不要、器具交換だけで調光・調色照明に変えられます」

 高齢者が長い時間を過ごすリビングは、照明の演出にも工夫したいと中島さんは言う。

「たとえば夜、シーリングライトで全体を柔らかなオレンジ色の明かりで照らし、読書などのために手元を明るく照らすスタンドを設置。観葉植物をあおるようにスポットライトを当てて葉影を壁に映し出したり、素敵なオブジェや絵画にライトを当てて浮かび上がらせたり…。

 人の目に光源が直接入らないよう位置に注意しながら、光の陰影を作り出します。目は光に反応し、より明るい部分に自然と焦点を合わせようと瞳孔を開閉したり、水晶体を伸縮させる毛様筋が働いたりします。いわば目のストレッチ、脳も同時に活性化します。

 一般的なシーリングライトの均一の光だけの下では、どこに焦点を合わせてよいかわからなくなり、高齢者などは長時間いると、ぼんやりして脳が働かなくなるのです。光の刺激は意外に人の生理に影響を与えています」

 こんなことをポイントに考えるとよいだろう。

【1】高齢者の健康に照明を生かすなら、光の陰影を演出して。
【2】テレビ画面は高齢者にとってまぶしいことも。テレビの裏に直管型照明を設け、背景の壁を明るくすると見やすくなる。
【3】トイレへのアプローチには人感センサーや照度センサーつきのフットライトを。明るい全体照明では夜のトイレで目がさえてしまう。
【4】寝室にはぜひ電球色の照明を。オレンジ色は一見、暗く見えるが、ワット数相当の明るさはあるので適正なワット数を選べば見えにくいことはない。

 トイレや浴室の照明は、排泄物のチェックや掃除、仕事前のシャワータイムには明るめの白い光が向くが、高齢者がホッとひと息つく場、また深夜に用を足すことを考えれば電球色の光がいい。暗めの電球色のLED電球や調色機能つき照明器具がおすすめだ。

「食卓を照らす照明には断然、電球色がおすすめです。白い光は脳の延髄の働きを抑制し、消化機能を弱めることも考えられるのです。また、寝室は不必要に上から明るい光で照らさず、床など目線の下にオレンジ色の光があると、たき火の心温まる心理効果も期待できます」

※女性セブン2020年3月19日号

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