スポーツ

無観客の大相撲 館内で聞こえてきた「普段は気付かない声」

静寂の中で聞こえてくるのは…(時事通信フォト)

静寂の中で聞こえてくるのは…(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大による史上初の無観客開催となった大相撲春場所。「観客の声援がない」なかで、会場となったエディオンアリーナ大阪の館内で記者が取材すると、普段は気がつかないことが、目と耳に入ってきた──。

 無観客開催の春場所がNHK中継されたことで、行司や呼出の美声がテレビ桟敷でも話題になったが、館内で取材していると、土俵入りで横綱が土俵中央に進み、仁王立ちする際に、行司が「しーっ」と発する声に気づかされる。「静かにしなさい」という意味がある「警蹕(けいひつ)」という所作だ。弓取式の際には、行司が力士に「白鵬代、将豊龍~」と声を掛けるのが聞こえる。横綱の代わりに弓を受けるという意味だという。

「物言い」の場面でも、普段は聞こえない土俵上の“協議”の内容が耳に入ってきた。無観客開催だと、土俵上で話し合う審判の声が3階席の報道陣にも届く。細かい言葉まではっきりとは聞き取れないが、集まった審判の親方衆がほとんど協議をせず、審判長がビデオ室とのやり取りを他の審判に伝えているだけということがよくわかる。大相撲も事実上のVAR(ビデオアシスタントレフェリー)の時代ということのようだ。

 中入りでは立行司が翌日の取組を場内に読み上げるが、観客は誰もいないのに4方向に四股名が書かれた紙を見せながら読み上げていく。この間、中継は実況席を映しているためその様子はテレビでも流れないが、すべて通常通りに行なう方針ということなのだろう。

 NHKは今場所、実況席に特別ブースを設けている。アクリル板があることで、実況・解説の声が力士に聞こえにくくなるようにしている。記者席で聞き耳を立てても、音らしきものがブースのなかから聞こえてくるものの、その内容まではわからない。静まりかえった館内に、北の富士氏の“辛口解説”が響き渡り、力士が気にするといったことが起こらないようにしているのかもしれない。

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン