国内

首都直下地震 渋谷・中野・杉並はなぜ危険とされるのか

杉並区・中野区、渋谷区のハザードマップ

 近い将来、起きる可能性が高いといわれる「首都直下地震」。人類が未だ経験していない、大都市への地震直撃に向けて、しっかりと備えておく必要がある。あなたの家、親族の家、子供の学校、職場は、安全な地域にあるのか、それとも、特別な備えが必要な場所なのか──。

 今回は渋谷区・中野区・杉並区の詳細な「ハザードマップ」を作成した。

※参考/東京都建設局「東京の液状化予測図 平成24年度改訂版」、東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」、国土交通省国土地理院デジタル標高地形図、『首都大地震 揺れやすさマップ』(目黒公郎監修/旬報社)、『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』(菅原健二著/之潮)

◆危険な住宅密集地こそ地域に目を向け協力体制を

 住宅密集地で、老朽化した木造家屋も多い中野、杉並エリアは「下町より危険」と指摘する専門家もいる。早稲田大学理工学術院教授の長谷見雄二さんはこう言う。

「住宅の密集レベルは、都内で最も危険だと指摘される下町と変わりません。台地のため、地盤条件(揺れやすさ)は下町より良好ですが、それが仇となって地震への危機意識が薄い。そのため、下町より甚大な被害が生じるのではないかという声もあります」

 ひとたび火災が起これば、八方塞がりになる恐れがある。少しでも被害を減らすため、避難ルートは複数見つけておかねばならない。武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さんはこう指摘する。

「住宅が倒壊すると、逃げ道を塞いでしまいます。そのため、自宅の耐震補強をしっかり見直しておく。初期消火できるよう、消火器も準備する。いますぐできる大地震への備えはいくつもあります」

 関東大震災では、佐久間町(千代田区)の住民たちが協力して消火活動を行い、類焼を防いだという記録がある。さらに阪神・淡路大震災(1995年)では、近所の人々が倒壊した家屋から住人を救助し、一命を取り留めたということもあった。過去の災害から命を守るヒントを学ぶことが重要だ。

◆雨水が急流になって「渋谷駅」に流れ込む恐れ

 暗渠化した渋谷川上流と宇田川の合流地点である渋谷駅は、大雨のたび周囲の雨水が集まり、浸水していた。現在は治水工事が整い被害は少なくなったが、万が一、震災時に雨が降ったら流れ込む雨水に足を取られる危険がある。

◆西武の間を流れる旧・宇田川

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン