笑顔を見せてくれた志村けん(2016年撮影)

笑顔を見せてくれた志村けん(2016年撮影)

 そして2つめは、仕事終わりの酒。

「舞台の日は、まずは楽屋で風呂上がりの缶ビール。これがうまい。で、仲間と食事に行って焼酎を飲みながら、『ここのところ、こうしたほうがいいかな』って舞台の話をしてね。この焼酎がまたうまい。あれ、なんであんなにうまいんだろうね。舞台で充実しているからかな」

 舞台のない日は、さらに酒を飲む。

「いつもは、深夜2時、3時まで平気で飲んでるね。で、家に帰ってからもまた飲んじゃうんだ、これが。だから寝るのは4時か5時。休肝日? そんな日はありません」

 仕事、お酒……そして。

「少し前まで“理想は正三角形”って言ってたんですよ。仕事、酒、女の正三角形。このバランスが大事じゃねぇかって。最近はここに健康が加わり、真四角が理想形になってきました。健康に気を遣うといっても、豆乳きなこを飲むとか、野菜を多めにとるとか、そのレベル。努力はしません。仕事がメインで、そのためには健康が大事。そして仕事のご褒美として酒と女がある。どれかが欠けるとバランスがとれなくなるんだよね」

 しかし仕事と酒の日々に、女性が入り込む余地や時間的余裕があるのか。

「それがねぇ、これがうまく入ってくるんですよ。特定の彼女って意味じゃないけど、人生で女がいなかった時はないですからね。だって、いないと寂しいもん」

 そう言うと志村は、邪気のない笑みを浮かべた。

【PROFILE】しむら・けん/1950年生まれ。東京都出身。付き人を経て、1974年にザ・ドリフターズの正式メンバーに。『8時だョ!全員集合』(TBS系)で東村山音頭やひげダンス、カラスの唄などが大人気を博し、国民的スターとなる。『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)など数々のレギュラー、看板番組を持ち活躍。2020年3月29日、新型コロナウイルスによる肺炎のため、死去。

●撮影/江森康之 ●取材・文/角山祥道

※週刊ポスト2016年8月5日号より、再掲

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