レバノン出国後、ゴーン氏の住居を家宅捜索した東京地検特捜部(時事通信フォト)
〈経営上層部が、自分たちがクビになるおそれをかなり強く感じ始めた。(中略)業績が悪くなっていたし、HDだと全員が今の職を続けられない〉
ゴーン氏に引き上げられた日産の幹部たちが、実績を上げられずこのままではいつ解任されるか分からない……そうした不安に駆られて経産省や検察を巻き込んで事件が始まったのではないか。本書から浮かび上がって来るこの構図を、僕は説得力があると思いました。
森友問題で佐川宣寿・元財務省理財局長が文書の改竄を指示したのも、同じく自分の地位を失いたくなかったから。自分の地位を守るためには事実を歪め不正をすることも厭わない、これが日本人の性質なのだと、改めて思い知らされました。
※週刊ポスト2020年5月1日号