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2020.04.23 07:00 週刊ポスト
【著者に訊け】三島邦弘氏 『パルプ・ノンフィクション』

三島邦弘氏が『パルプ・ノンフィクション 出版社つぶれるかもしれない日記』を語る
【著者に訊け】三島邦弘氏/『パルプ・ノンフィクション 出版社つぶれるかもしれない日記』/河出書房新社/1800円+税
「一冊入魂」「原点回帰」の野生派出版社・ミシマ社が折しも創業9年目を迎えた2014年末のこと。このどこか聞き覚えのある書名は、何の中身の構想も伴わないまま三島邦弘代表(44)の体内に〈降臨〉したのだという。
「もちろんタランティーノ監督の傑作『パルプ・フィクション』ありきの響きですが、気づくと『なんとかこれを書かねば』っていう、思いだけがあったというか。そうやって何もないところから本が生まれる過程を脱線も交えて追った本書は、まさに『パルプ・ノンフィクション』の名に相応しい感じも、今はします(笑い)」
パルプ、つまり本や出版の今を書こうと思ったものの、編集者を頼むのも憚られ、自ら〈脳内編集者〉を兼務する迷走ぶりもそのまま綴られる。だが本書は〈古い枠組み〉から脱却し、より有機的で生き生きとしたシステムの構築をめざす、〈ほがらかでクレイジー〉なビジネス書でもあった。
自由が丘と京都を拠点に出版界の常識にしなやかに風穴を開け、2011年には初著書『計画と無計画のあいだ』も刊行した三島氏。だが、本書の彼は当然ながら前著から9年分歳も重ね、ままならない資金繰りや新人教育など、大人の事情に塗れてもいた。
「よく経営を心配されるんですが、資金ショートはよくある話ですし、大丈夫なんです。むしろ僕の気がかりは、この10年で増えた1人出版社や小規模出版にあります。〈小舟〉同士が連携し、大手版元も巻き込んで補完し合う関係を、未だ作れていないのです。
そこを繋いで毛細血管として機能させないと、結局は動脈頼みになって梗塞を起こしかねない。つまりは共倒れです。いくら小舟が多様な良書を作っても、本の世界そのものが続かなければ意味がないし、動脈だけで何とかなった時代はとっくに終わっているので」
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