人気薄の激走を仕留められるか
その裏付けになるかどうか、単勝50倍以上の人気薄の馬が3着以内に入った回数は、昨年より30回近く多い99回。馬連の万馬券が昨年より40回以上少ないのは、1番人気馬が連対を果たせば、相手が多少人気薄でもそうそう万馬券にはならないということだ。10万円以上ついた3連単は、昨年より少し多いだけだが、そのうち4割近くは1番人気馬が絡んでいる。それだけ人気薄馬の激走が多い。
桜花賞当日は3連単10万円以上が半分の6レース、土日間の騎手の移動が禁止された翌週は、24レース中100万馬券3回を含む9回と(当たった人には)大盤振る舞いだった。
減量の恩恵がある若手騎手や、おなじみの大駆け騎手、さらにベテランでは騎乗機会の少ない騎手の勝負気配を察知したい。若手で言えば、岩田望、西村淳、団野、亀田。中堅では野中、木幡巧、藤岡康、吉田隼に国分ブラザーズ。49歳の岡田騎手は昨年166騎乗機会で7勝に終わったが、50倍以上の馬を7回馬券圏内に持ってきており、今年の1勝も単勝55倍の馬。しかも人気薄を連れてきて馬連は6万馬券になった。3月にデビューしたばかりの泉谷騎手、秋山稔騎手もすでに10万馬券の演出をしている。
もちろん。これらは過去のデータであり、「たまたま」の結果かもしれない。単勝オッズと馬連や3連単のオッズは連動しているわけではなく、「勝つ決め手はないが、3着以内に入る堅実さはある」という馬がいることも承知している。また騎手はどんなに人気薄でも常に勝利をめざしている。
ただ、競馬場でじっくりパドックや返し馬を見ることができないかぎり、競馬新聞の印に従うだけでなく、自分なりの拠り所を探さなければ楽しくない。「人気」や「オッズ」というのは競馬メディアがつくりあげるものではなく、馬券を買うファンの最大公約数。従うにしろ裏を読むにしろ、貴重なファクターであることは間違いない。
馬券売り上げの一部は間違いなく国庫に入るので、「コロナ対策への寄付」と考えればいい。競馬ファンには競馬ファンなりの社会貢献がある。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。