もちろん番組のメーンは明日からのレース予想。ところが、冒頭の反省が微妙なスパイスとなっていつまでも頭に残る。データというファクトを理路整然と重ねて説得力を強化しても、「そうは言うてるけど、外れてるやん」と思ってしまう。
さて、トラックマンは有望馬を推奨するだけでなく、レースの特徴についても言及する。「順当」か「波乱」か、はたまた「難解」か。ざっくりとした予想である。
ここは大事だ。プロに「順当」と言われると「そういうレースか」と信頼して馬券を組み立てるのだから。いわばトラックマンの言動がレースを決める。実際のレースよりも予想段階のレース傾向のほうが断然重要なのだった。
予想が「順当」で結果が「波乱」だとしても仕方ない。ただ「順当」の論拠を、力強く気合いを乗せて開示してほしいのである。
●すどう・やすたか 1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。
※週刊ポスト2020年5月1日号