なかには、この新型コロナ禍で売上を伸ばした店もある。
「うちはもともと夫婦ふたりでやっている洋食店。4月の後半から店内営業を止めて、お弁当の持ち帰りに専念しています。周辺の飲食店が軒並み閉まっているせいか、まず客数が増えました。加えて普段はあまり出ない1000円くらいの定食をお弁当にしたら、ふだん700円の日替わり定食ばかり召し上がるお客様がそちらを頼んでくださる。時間帯も昼時ばかりに集中せずに、前後にいい具合に散ってくださるので、売上は伸びました。緊急事態宣言が解除されて、店内での飲食も再開しましたが、弁当も変わらず売れてくれています。といっても、他のお店が再開したら元通りになるんでしょうけど(笑)」(渋谷区・洋食店)
一口に「新型コロナ禍」と言っても、当事者の数だけ事例があり、悩みがある。最後の例も現在の売上は好調だが「来月以降、じわじわ客足が落ちていくのではという不安はある」という。誰もが感染拡大防止と経済活動の間でそれぞれの正解を求めていく。すべての人が当事者である以上、すべての判断は尊重されるべきだが、その判断は人目にもさらされる。