スポーツ

1960年代、巨人以外のファンは帽子マークをYGと付け替えた

巨人のマークも微妙に変化

 男の子なら誰もが一度は野球帽をかぶったことがあるだろう。約700点に上る野球帽の歴史を解説した『野球帽大図鑑』(朝日新聞出版)著者の綱島理友氏が、日本人男性と帽子、特に野球帽との関わりについて解説する。

 * * *
 かつて日本の明治、大正生まれの男たちは紳士帽をかぶっていた。父や祖父は「サザエさん」の波平のような中折れ帽というかソフト帽を紳士のたしなみとしてかぶっていた。しかし今はよほどの洒落者でないと、そんな帽子はかぶらない。

 この時代、日本の男たちがかぶっている帽子は、野球帽ではないだろうか。それはもう子供時代からの長い付き合いである。

 私の子供時代は1960年代で、プロ野球人気の勃興期。時代は巨人、大鵬、卵焼き。街の帽子店に並んでいるのはYGマークの巨人の帽子だけだった。巨人ファンが圧倒的多数なのでしょうがないのだが、他球団のファンは帽子マークを付け替えてもらっていた。帽子店にはフェルト製の他球団のマークも売っていて、好きな球団を言うとYGマークを外して付け替えてくれた。店の引き出しを覗くと、阪神、南海、阪急、国鉄……いろいろな球団の帽子マークが見えた。私は大洋ホエールズのファンだったので、このシステムでTをつけてもらっていた。

 1970年代に入ると各チームの帽子も派手になり、球団が子供用の公認帽を販売するようになった。「今の子たちはいいなぁ」と、羨ましかったのを覚えている。大学時代にはアメカジ・ブームがあって、MLBチームの帽子をファッションとしてかぶりはじめた。

 そして今、中年を過ぎても、私は野球帽をかぶっている。昭和の戦後生まれの人たちは、人生をずっと野球帽と共に生きてきた、おそらくはじめての世代ではないかと思うのだ。

◆イラスト/イワヰマサタカ

※週刊ポスト2020年6月26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の「二刀流登板日」に私服で観戦した真美子さん(共同通信)
「私服姿の真美子さんが駆けつけて…」大谷翔平が妻を招いた「二刀流登板日」、インタビューに「今がキャリアの頂上」と語った“覚悟と焦燥”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン