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猫の“あるある” 電話で話している時、近くで鳴くのはなぜ

猫の”あるある”について解説(撮影/五十嵐健太)

 新型コロナウイルスの影響で行動も制限され、何かとイライラすることも多いいま。癒やしを求めて猫をペットとして飼いたいという人が増えているという。猫が人に飼われるようになってから約1万年。その長い歴史を見ても、猫は一貫して人に媚びることなく、マイペースに生きている。上野動物園の動物解説員などを務め『ざんねんないきもの事典』シリーズを監修した動物学者の今泉忠明さんはこう話す。

「猫には4つの人格があり、本能で生きているので、実は、猫の本心を知ると、人間にとっては永遠の片思いのようで、少し残念かもしれません。それでもなお、猫が魅力的なのは、見た目の愛くるしさに加えて野性味や動物としての合理性、自立性を併せ持つところにあると思います」

 猫ならではの習性と生態を受け入れ、猫が猫らしく生きられる環境を作っていくことが、猫と共生していくには欠かせない。

「たとえば、失敗した後に転位行動で気持ちを切り替えるとか、子猫に狩りを教えていたのに、ある時期を境に急激に子離れする子育て術なんかも、興味深いですよ」(今泉さん・以下同)

 共に過ごす時間が増えると人間同士は険悪になることもあるが、“つかず離れず”の絶妙の距離感など、猫に学ぶことは多くありそうだ。そこで猫に関する「あるある」について、今泉さんに解説してもらった。

【Q.1】帰宅すると玄関まで出てくるのは「おかえり」のサイン?
A. 猫が玄関に出てくるのはチェックのため

「飼い主が家に帰ってくると、玄関先まで出てくる猫がいますが、これはパトロールの一種でチェックしに来ているだけ。犬のように“おかえり”と迎えに出ているわけではありません。たとえば買い物袋を玄関に置いておくと、“何を持ち込んだんだろう?”とにおいを嗅いだり、触ってみたりして確認します。そこで、危険物ではないとわかるとスーッといなくなる。だから、“ダメ!”と言って、そのまま買い物袋を奥の棚にしまってしまうのはNG。猫は気になって仕方がないから、なんとかそれを取ろうと飛びついて落としたりするわけです。空港で検疫を受けるのと同じですね。まずは、猫が満足するまで嗅がせてあげましょう」

【Q.2】何か失敗した後、ぺろぺろ毛繕いし始めるのはなぜ?
A. 失敗を忘れるための気分転換的行動

「猫は単独で暮らしているので、狩りの失敗も多い。そんなときに、いちいち落ち込んでいては生きていけませんよね。そこで、全然関係ないことをやって失敗を忘れようとするのです。そのような行動を“転位行動”といいます。猫がよくジャンプに失敗した後に、何ごともなかったかのように毛繕いや爪とぎをしているのは、まさにこれ。簡単にいえば、気を紛らわせているのです」

【Q.3】家で電話をしていると、近くで、大声で鳴き始めるはなぜ?
A. 自分に話しかけていると思っているから

「相手の姿が見えないのに飼い主がひとりでしゃべっているから、猫は自分に話しかけていると思っているんです。だから、“一緒にしゃべろう”って、声をかけているんです。しかも、飼い主の目を見ると自分を見ていないからちょうどいい。猫は、じっと見つめられるのが苦手で、にらまれながらしゃべられると怖くなってしまう。ちょっとうるさいけど、大目に見てあげてください」

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